創聖のアクエリオン 26話(最終回) 感想&作品総括



この作品の感想は19話しか行っていないが、
一応見続けてはいた。
いやはや、大量のアニメを毎回レビューするレビュアー諸氏には
本当に頭の下がる思いである。
まあ置いといて、とりあえず最後まで見たので
この作品に関して独断と偏見で評価してみようと思う。
まず、26話を見た直後に2chのレビュースレに書いた総括的レビューを記す。
今回のスタンスとしては、
最終話は素直にものすごかったのでみんな誉めるだろうから、
筆者は批判しようという感じで。



創聖のアクエリオン 7点 

注:筆者は主に2クール目からちゃんと見始めました 

全26話、超時空要塞マクロス河森正治が放つ、神話的ロボットアニメ。 
そのぶっとんだノリは、受け入れられる人なら必ずハマる面白さを持っていると思う。 
また、真面目な人でもひとつの神話として考察できるほどの物語的完成度を誇っている。 
しかし、その物語は要約すれば6話と18話と26話(最終回)の3話に 
圧縮することが出来るとも言えるだろう。 
最終回を見た時、筆者自身はとにかく圧倒させられたし、多くの見るものを 
感動……というかとてつもない衝撃の渦に巻き込むのは間違いないと思うが、 
この最終回のためにそれまでの25話が全て機能していたかどうかは疑問である。 
とはいえ、神話性を強調する為には多すぎるキャラクターや、多すぎる話数など、 
「冗長さ」や「無駄」も必要であるとも思うし、それに演出効果がある事も事実だと思う。 
筆者はケルト神話の原文を読んだことがあるが、とにかく似たようなキャラクター、 
同じようなシーンの繰り返し、くどい状況描写がありまくり、 
それが神の世界の壮大さ、永遠無限の連続性を感じさせる事に一役買っているのである。 
それでも筆者は、21世紀の物語ならば、きっちりとした中で神性や壮大さを見せるという 
新たなる神話的描写の試みを行ってほしかったと思うのである。 
無論、この辺の評価は完全に主観の領域であり、意見が分かれるであろうと思われるが、 
とりあえず筆者としては、見ようかどうか悩んでる人はまずネットで比較的評価の高い回だけを 
抜き出して鑑賞し、ストーリーやキャラに魅力を感じたら最初から見始め、 
ネタで大笑いしただけならそのまま評判の回だけをつまみ食いすることをお勧めする。





例えば、26話中盤で劇場版エヴァの如く生命の樹に融合していった
堕天翅幹部の中で、どう考えても剛翅がシカトされている。
と思ったら、いつの間にか死体になっていたらしい。
キャラのポイ捨てもまた神話の特徴ではあるものの、
きっちりした物語を期待してしまった筆者は
「こんなおいしいキャラ、どうせ捨てるなら初めから出すなよ……」
とか思うのである。
これは勿論、陰陽大戦記にも当てはまることであるが、
アクエリオンの場合、とりわけ主役贔屓が激しいような気がする。
主観的な意見だが、筆者としてはディーヴァはもうちょっと人を削れたと思う。
テレ東でつぐみの乳揺れなど誰が期待していようか。
リーナとソフィアの物語上の立場ってぶっちゃけ被ってるだろ。
強攻型のお披露目まで、筆者の中でグレンとクルトがごっちゃになってたぞ。
クライマックスの辺り、ジュンに見せ場はあっただろうか?
てかピエールのエレメント能力って何だっけ?
筆者がこの最終決戦に(勝手に)期待していたのは、
夜翅のおじいちゃんバカっぷりであり、
パワータイプの剛翅が敗退を繰り返して成長して行く様であり、
復讐に燃える智翅sが余り物のブルーメンブラットとリュンヌに乗り込み、
雑魚だと思ったら知略とコンビネーションに長けた戦術で残存ディーヴァは大苦戦、
みたいなそういう燃えシチュエーションである。
敵方があんまり描写されないのも神話の英雄譚としては定石だが、
ロボットアニメ、特にスーパーロボットとしてはそれは余り歓迎されないと思う。


つまり筆者の中では、創聖のアクエリオンとは
「神話的アニメとして」究極的成功を収めた傑作ではあるものの、
「ロボットアニメとして」はバランス調整によりもっとよくなる可能性を多分に秘めた
佳作、という評価なのである。
少なくとも、神話性を維持したままもっとロボットバトルの盛り上がりを導入する事は
この26という話数で十分に可能だったはずである。
2クール目までろくずっぽ見てなかった筆者が、この最終回で感動できたのだから。