プレイボール 第一話



やたらめったら評判が良いこの作品。
筆者は、そこに筆者の大好きなネタを感じたので見てみることにした。


 プロフィールに書いてある筆者のハマリアニメ、グラ2と巷説と忘却に現在の陰陽大戦記、そしてこの「プレイボール」と似たような系列にあると思われる花田少年史鉄人28号などのある種のアニメ*1は、見るものを何らかの選民思想のような感情に陥らせる傾向にある、と個人的に思っている。
 所謂、「このアニメは他のアニメとは違う! 高尚なものなんだ!」とか「今の萌えばっかりのアニメには無いものがある! 地方局深夜なんかじゃなくて民放の夕方にやって、子ども達に正しいアニメを教えるべきだ!」みたいな論調である。これは、2ちゃんねるのアニメ板を主なサンプルとして言っているが、そうすると勿論、特に2ちゃんじゃそんな論調はどんなアニメにも日常茶飯事じゃないのか、という意見も来るだろうと思う。筆者は、その中でも特にこれらのアニメはその傾向が顕著であると思うのだが、いかがであろうか。
 これらは一言で「カリスマ」と言って片付けられるものがあるかも知れない。だが、上記で挙げたうち一作品に入れ込んで、別の一作品は冷静に批判するという感想やレビューがあまりに多いのを見ていると、これらのカリスマは作品毎によって特性が異なるものだと思う。
 別に、カリスマに惹かれて、偏向性や時として排他性に傾きかけるような感想やレビューを責めるわけではない。そもそも非営利の感想サイトの評価なんてものは主観的で当たり前だし、むしろそうあるべきだと思う。ここの陰陽考察のように、科学的メッセージもどきをくどくどと用いて結局問題提起しかしないような筆者の文章は、むしろ異端であろう。何より、明らかにカリスマに影響されているレビューと言うのは、少なくともそのレビュアーはピンポイントで作品のカリスマ性にやられてしまった、というデータを提示しているので、むしろ客観性の高い判断材料になり得るのである。
 筆者は、このカリスマというものを研究、分析したいのだ。この作品のカリスマ性は何処に存在するのか。何が視聴者を惹きつけるのか。ひょっとしたら、科学的には表現不可能な概念なのかもしれない。しかし、もしこれらのカリスマを論理的に記述することが出来たら、個々を複合させることによって途轍もない人気アニメを作り出すことが出来るのではないか、そう思うのである。例えば、忘却と種と陰陽のカリスマ性が共存させられるならば、一般の視聴者にも萌えオタにも萌え嫌いの「硬派な」アニオタにも受けて、おもちゃもDVDもバカ売れするアニメが出来るような、そんな気がするのである。*2


 んで、「プレイボール」である。(ここから主観的感想)まあ、2ちゃんのスレじゃいつもの「萌えオタには分からないだろうな」的な論調がたまにあっていつものことだなーと思いながら録画して見てみた。
 まず、見る前は「こういうのも、結局は萌えアニメじゃないのかな」とか漠然と思っていて、それを評価の根幹とするつもりであった。要するに中年世代のオタクが、かつての古きよき時代を思い起こしてそのノスタルジーに萌え、また硬派ぶっているオタクは、今の萌え全盛のアニメ界では貴重なものとなってしまった、熱い男達の汗臭いドラマや硬派な世界観に萌えるアニメなのだろう、と。
 いや、正直そういう視点で評価も勿論出来るのだが、筆者はそれ以上に言いたいことが出来てしまった。
 「ひねくれた視点で見てたけど、普通に熱くてクオリティの高い、すばらしいアニメでした、ごめんなさい」ということ……も、勿論あるが、そうではない。


「……このアニメ、熱血王道スポ魂モノであり、また先ほどの論調どおりの「カッコいい生き様に萌えるアニメ」とも言えるが、それ以前に、近年のエロゲアニメもびっくりの鬱アニメじゃないのか?」


 後輩たちはまあ、最終的には遠まわしに喝を入れてくれたけど、ラストに至るまで、気を使いすぎてよそよそしい態度になっている両親が痛々しすぎる。まるで平成の核家族じゃないか。
 他にも、まず神流闘神士の如く立っている指が悲壮な主人公の届かない野球への思い、そして視聴者は主人公の努力によって培われた基礎体力を知っているけど、同期のサッカー部員一年生達にとってはミネルバのメンバーにキラが加わったかのごとく与えられる、場違いな超実力者の参入という衝撃。そして、信頼していた主人公を、今後の展開で結局他に持っていかれてしまうことが決定している、稀代のツンデレキャラ、今野。
 挫折という陰惨な要素と、また別離への伏線が散りばめられた今回は、萌えオタとして慣らした筆者にとって相当暗い部分があるように感じたのだ。
 無論、そういう提示された苦しみに打ち勝ち、希望を手にするのがスポ魂の醍醐味である。コレだけの暗い要素があるからこそ、後のカタルシスが凄まじく燃え上がるのではあるが……
 何と言うか、昔のスポ魂ものということでもっと肉体的な苦しみに打ち勝つ物語だと思っていたら、かなり精神的な物語でビックリした。恐らく、肉体の物語はキャプテンで語られたのだろうけど。
 まあようするに、だ。……
「タカをくくってました、ごめんなさい」orz


 個人的には、野球をあまり知らないのでキャプテンを読む気にはなれない(スポ魂だったら、古本屋で俺たちのフィールドを探索中の昨今なのもある)のが痛いか。そうしないと、まともに評価する資格はあまり無いと言うのは分かってはいるのだが……




匿名無礼

*1:近年の最たるものは陰陽よりフタコイオルタなんだろうけど見れないorz

*2:ここまで書いて、「ああ、結局俺が考えてることは皆が考えてるような月並みなことなんだなあ」というのは筆者自身自覚している。でも書く。